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GA4の『探索レポート』を使いこなす!ユーザー行動分析の具体的な事例

GA4探索レポートのイメージ画像

投稿日: 2025-10-14

こんにちは、Webディレクターの渡邉です。 Webサイトをより良くしていく作業の中で、GA4(Google Analytics 4)のデータは欠かせません。特に 「探索レポート」 は、サイトに来てくれたユーザーの動きを深く知るための、心強いツールだと感じています。

この記事では、私が自分のブログで実践した、探索レポートを使った読了率改善の事例をメインにご紹介します。標準レポートでは見えにくかった「ユーザーがなぜ途中で離脱したのか?」という疑問を、データで探った手順を整理してみたいと思います。読者の皆さまの参考につながれば幸いです。

1. 私自身の実践事例:探索レポートでブログの読了率を改善するまでの流れ

「書いた記事を最後まで読んでもらいたい」という思いから、私はブログの読了率を重要な目標の一つにしています。その目標を達成するために、GA4の探索レポートで分析と改善を試みました。

(1)課題の発見:読了率が低い記事の原因を探る

  • 課題: ブログ記事 articles/02.html の読了率が、ある期間のデータで 10% と非常に低いことが分かりました。
  • 分析の準備: GTM(Google Tag Manager)を使って、記事のスクロールの深さ(25%, 50%, 75%, 100%)を測るイベントをGA4に送るように設定しています。

(2)分析手法:「自由形式レポート」で離脱の場所を特定する

ユーザーが記事のどの部分で読むのをやめてしまっているのかを調べるために、 自由形式レポート を使いました。

  • レポートの設定
    1. 探索レポートで「自由形式」を選びます。
    2. 「データの項目」に 「イベント名」「ページパス」 を追加します。
    3. 「データの数字」に 「イベント数」 を追加します。
    4. 「フィルタ」で、分析したい記事の「ページパス」を指定し、表の行に 「イベント名」 (スクロールイベント)を配置して数字を見ました。
  • 分析から気づいたこと
    イベントの発生数を確認すると、 記事の冒頭から少し進んだところ(25%スクロールを超えた直後)で、イベント数が大きく減っている ことが分かりました。その場所の記事内容を確認すると、 非常に長いコードブロック がありました。 私は、この長いコードが「なんだか難しそう」「読むのが大変そう」という印象を与え、ユーザーが読むのをやめてしまう原因になっているのではないかと考えました。

(3)試した改善策とこれからの見直し(PDCA)

  • 改善策の実行: ユーザーの負担を減らしたいと思い、問題の 長いブロックコードをアコーディオン形式に変更 しました。これにより、必要な時だけ開いて見られるようにし、見た目の圧迫感を減らしました。
  • 効果の測定: 変更後に再びGA4の探索レポートで読了率の数字がどう変わったかを測定し、 現在検証中 です。この結果から、次の改善を考える計画です。

2. 事例で使った「探索レポート」の基本的な種類

私の事例で利用した「自由形式レポート」を含め、探索レポートにはいくつかの種類があります。目的に合わせて使い分けることで、分析の幅が広がります。

(1)自由形式

データを自由に組み合わせて、表やグラフを作れるレポートです。今回の事例のように、特定の記事で「どのユーザー層が、どのくらい行動したか」を細かく知りたいときに特に役立ちます。

(2)経路データ探索

ユーザーがサイトの中で「どんなページを見て、どんな順番で移動したか」を、木の枝が広がっていくように見せてくれます。ユーザーの主な行動ルートや、予期せぬ動きを見つけるのに便利です。( 後述の事例2で活用

(3)ファネルデータ探索

目標を達成するまでのステップ(流れ)を自分で設定し、「どれくらいの人が次のステップに進んだか」を確認できます。ユーザーが目標達成までの道のりで、どこでつまずいているか(ボトルネック)を知る手がかりになります。

3. その他の「探索レポート」の活用例

読了率の改善以外にも、探索レポートを使って私が注目している分析の例を2つ紹介します。

(1)事例1:特定ページの離脱率が高い原因を深く探る(自由形式レポート)

  • 課題: よく見られているけれど、途中でサイトから離れてしまう人が多いページの原因を知りたい。
  • 分析の視点: 自由形式レポートで、離脱率が高いページに絞り込み、行に「どこから来たか」や「使っているデバイス(スマホかPCか)」といったデータの項目を置いて分析します。そうすることで、「スマホでアクセスした人だけが離脱率が高い」など、具体的な問題の場所が見えてくることがあります。

(2)事例2:目標達成までのユーザー行動ルートを把握する(経路データ探索)

  • 課題: 問い合わせや申し込みといった目標達成の数を増やしたい。ユーザーがどんなルートを通って達成に至っているのかを知りたい。
  • 分析の視点: 経路データ探索 で、始まりのページと終わりのイベント(目標達成)を設定します。これにより、ユーザーが最もスムーズに進んでいる「良いルート」や、途中で迷ってしまう「つまずきやすいルート」を発見するヒントが得られます。

4. 探索レポートを使う上で私が気をつけていること

探索レポートをうまく活用するために、私が意識していることをいくつかまとめてみました。

(1)セグメント(特定のユーザーのまとまり)を活用する

  • サイト全体の数字だけでなく、「特定のサイトから来てくれた人」や「モバイル端末を使っている人」など、ユーザーのまとまりに分けて分析することで、より具体的な改善のアイデアが見つかります。

(2)「なぜ?」という仮説を立てて検証する流れを大切にする

  • レポートは「結果」を示してくれます。その結果を見て「なぜそうなったのだろう?」という疑問を持ち、自分なりの仮説を立てて改善を実行し、またデータで効果を確かめる、という流れを繰り返すことで、学びが深まると感じています。

(3)レポートの保存や共有をする

  • 作った探索レポートは保存できます。私は一人で運営してますが、チームでサイト運営をしている場合、共通認識を持つための資料として共有できるのも便利です。

(4)データサンプリング(データの抽出)に注意する

  • データ量が多いとき、GA4はデータの一部だけを使って分析することがあります。大切な分析の際は、このデータの抽出が行われていないかを確認し、必要に応じて期間を短くするなど、正確な分析ができるように気をつけています。
  • 参考:データサンプリングについてのGoogleの公式ページ https://support.google.com/analytics/answer/13331292?hl=ja

5. まとめ:データ分析を次の行動につなげたい

GA4の探索レポートは、Webサイトのユーザーの行動を深く理解し、データに基づいた改善を行うための強力なツールだと、改めて感じています。

標準レポートでは「読了率が低い」という結果しか分からなかったところから、探索レポートを使って「長いコードブロックが原因かもしれない」という具体的な気づきを得ることができました。私自身の学びの定着と成長のためにも、これからも分析と改善のサイクルを続けていきたいと思っています。

この記事に書いた私の経験が、同じようにWebサイト運営に取り組む方々の、何かのヒントになれば嬉しいです。